アメリカ南部の田園風景~The Refuge and Expansion
2008年12月21日
そこに立つと南部の人間になった気にさせるほど、南部の自然を再現しています。
といっても、わたしは南部に行ったことはないので、そう思うこと自体が「仮想」なのですけど。
この The Refuge and Expansionは、AM Radioさんの作品で、Wales Springs というSIMに10ヶ月間展示されたもので、今は撤去されています。
ほんとに多くの人から愛され、惜しまれた、ノスタルジックな世界の記録です。
この風景に最初に降り立ったときは驚きました。
何の変哲もない、あまりにもフツーの景色を、恐ろしいほどのリアリティーをもって再現したいるのですから。
空には「美しくないもの」の見本である電線がはってるし、建物は普通の家だったり倉庫だったりと、観光名所とか名物があるわけでもありません。
でも、この仮想の世界の中で生きることで、南部の人間の気持ちになれそうな気がするのだから不思議です。
その意味で、このシムは、仮想社会の一つの意味を世の中に示したと言えるのではないでしょうか。
有刺鉄線の向こうには、実物さながらに、雪におおわれた広い畑が広がります。
南部の風物詩、風車(windmill)があります。
ぺたーっと平らな地形なので、風が強いのでしょうか。ヨーロッパでも風車の起源は平原だったと言われていますので、南部の地形はそれに向いているのでしょう。
風車の用途は、ヨーロッパの場合は、粉引きが多いのですが、ここでは何に使われているのでしょうか。
遠くに民家が見えます。
民家の中で、南部の生活に触れることができます。
つつましやかながらも、豊かな生活の雰囲気が漂っています。
窓から射し込んだ光が、室内を暖かく照らしています。
ニューヨークのように変化も刺激もなくても、平穏で穏やかな生活が、そこにはあることを表現しているのでしょう。
二階は家主が趣味の部屋として使っているのでしょうか。
沢山の本と、机の上には顕微鏡と天体望遠鏡があります。
二つとも驚くほどの精巧さで作られています。そのうえ、訪問者の記念にどちらもお持ち帰りできます(タッチしてもらえます)。
そこはかとなく、南部の人たちの教養レベルの高さを感じさせる、にくい計らいです。
今でも学校で進化論を教えることを禁止しているところがあるなどとは、とても思えません(笑)。
さらにその上の屋根裏部屋には、真空管式の無線機があります。
ノスタルジックで素敵な感じです。
ここに表現されている南部には、KKKもいませんし、鉄砲をぶっぱなす連中もいません。
ニュースといえばローカルニュースから先に流し、国際ニュースは一番後回しで、人々の関心は自宅周囲数十キロどまり、などということも表現されていません。
その意味では、この美しい南部は「仮想」のものに過ぎません。
でも、作者の思い描く理想の南部なのでしょう。
そして、わたしもその理想に共感します。
なぜなら、そこにはつつましやかで、教養を愛し、自然と生きる平凡な生活の理想が表現されているからです。
そういうことを、この仮想世界は、訪れる人に感じさせてくれます。
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