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警察庁統計による2006年の自殺者数である。
無理心中は日本特有かと思っていたが、アメリカのカリフォルニアで、解雇された夫婦がゆく末を悲観して、まだ幼い5人の子供を道連れに無理心中を図るという、痛ましい事件が起きた。
サブプライム不況が世界中で深刻になる中、自殺者の増加が心配されている。
世界的に自殺に関するニュースが目につくようになった。
冒頭に書いたあまりにも痛ましい事件のほか、新年早々にアメリカの不動産オークション大手のシェルドン・グッド社のCEOのSteven L. Goodが自殺した。
彼の亡骸が発見されたのと同じ日には、ドイツの億万長者であるアドルフ・メルクルが列車に飛び込んでいる。
CNNによれば、彼は昨年、金持ちランキングで有名なフォーブズ誌で世界94番目の金持ちだったそうだ。
また、世界中のメディアを賑わせた前代未聞のネズミ講事件を引き起こした、元ナスダックの会長マードフがらみでの自殺者も多く、昨年12月には、この事件で14億ドル(1260億円)失ったフランスの実業家が自殺している。
このネズミ講で、世界中に500億ドル(4兆5000億円)の損失をばらまき、数多くの慈善団体を崩壊させた張本人が平気で生きているのに、そのわずか3%足らずの損失を被った人が自殺をするのだから、気の毒を通り越して、皮肉にすら感じる。
このようにニュース紙面に現ることもない、名もなき人たちの自殺も含めて、アメリカでは毎年32000人の人が自殺をするという。
ところが、警察庁の統計によれば、アメリカの4割ちょっとの人口しかない日本の自殺者数が、ほぼ同じ数となっている。
このため、自殺率(人口10万人当たり何人が自殺するか)では、アメリカは世界で43位なのに対して、日本は9位と、不名誉な一桁入りしている(2004年の数字http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html)。
ちなみに、世界的には旧ソ連圏や東欧の国々の自殺率が最も高いのは経済の混乱や社会不安といった背景があるのかもしれない。
また、アラブ圏が少なかったり、ヨーロッパでもカソリック圏の方がプロテスタント圏よりも少ないのは、宗教的な背景があるのだろうか。あるいは、イタリア人やスペイン人が、ドイツや北欧の人たちよりも、人生を楽観的に生きているのかもしれない。
そして、アフリカ圏が際立って少ないのは、内戦や病気で多くの人が若くして死んでしまうので、「自殺どころではない」という状況なのかもしれない。
最近、「亡き子へ」という本を読んだ。
子を失った親たちが今は亡き子のためにしたためた手紙をまとめたものだ。
その中には、自殺によって亡くなった子に宛てたものも多く含まれていた。
「逆縁」と言われるように、そもそも子に先立たれることだけでも耐えがたいはずなのに、それが「自殺」という形であれば、いかばかりだろうか。
手記を読むと、自殺によって死ぬのは、自殺した本人にとどまらず、残された家族も精神的に死ぬのだということがわかる。。
家族が自殺する前と、死んだ後では、まったく別の人生になってしまっていることだろう。
CNNニュースでコメントしているセラピストは、「もうこれ以上人生を続けていくことに意味を見いだせなくなったときに、人は自殺をする。」という。
でも、客観的に見れば、続けていくことに何の意味もない人生が、毎年3万を超えるほどあるはずもないのであって、それは本人がその意味を見失ってしまったからなのだろう。
十分に人のつながりがある社会であれば、本人が見失ってしまったものに対して、周囲の人がもう一度目を向けさせたりすることで、「もう少し頑張ってみようかな。」という気持ちを起させることもできるだろう。
でも、ネットを通じて手軽に多くの人と繋がれる一方で、繋がりそのものは恐ろしく希薄で、うつろいやすいものになってしまった今の社会では、そういうきっかけを与えてくれる人を、自分の周囲でみつけることがとても難しくなってしまったのかもしれない。
日本社会ののセーフティネットが貧弱だといわれている。
昨今のニュースを読めば、経済的なセーフティ・ネットがきちんと機能していないということのほかに、心のセーフティネットも、日本社会の変容に合せるように、どんどん劣化しているように感じるのは、私だけではないのではないだろうか。
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