気になる数字

メディアに現れた気になる数字の備忘録


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 新聞や雑誌のメディアは統計やデータなどの数字であふれています。
 それは、一般的に数字が主観を排除したハードで冷徹な事実と思われているからですが、実際は、人々は数字を自分なりのコンテキスト(文脈)で利用しようとするため、それ自体は客観的であるはずの数字でさえ、主観的な意味合いを持ってしまうこともあります。
 そういうことに注意しながら、わたしがメディアで目にした数字を取り上げていきたいと思います。
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140万人 - 派遣社員数

2009年01月07日

 昨年は派遣社員に対する社会の関心が高まった年だった。
 秋葉原の路上で罪もない沢山の人たちが無差別に襲撃を受けた事件の犯人が派遣社員だったこともあり、罪自体は言語道断で許せないものの、犯人を犯行に追い込んだ派遣労働というシステムの問題に、社会の目を向ける大きな契機となった。

 総務省統計局が公表している労働力調査によれば、昨年9月時点で、労働者派遣事業所の派遣社員、いわゆる派遣社員の数は140万人となっている。
 労働力人口6,658万人から完全失業者数の266万人を差し引いたものが就業者数で、6,392万人となり、それに対する比率で2.2%となる。
 就業している人の46人に1人が派遣社員だ。

 これを多いとみるか少ないとみるかはともかく、1999年に労働者派遣法が改正され、対象業種が大幅に拡大されてから増大の一途をたどっている。
 労働者派遣法改正直前の1999年8月では28万人だったものが、改正直後の2000年2月では既に5万人増え、改正1年後には10万人増えて38万人になっている。

 その後、2004年の労働者派遣法の改正で製造業が派遣事業の対象となって、増加のペースが上がり、それまでは年間8万人程度の増加だったものが、2004年は対前年で35万人も増加している。

 その後2年間は、毎年20万人のペースで増加したものの、ここ一、二年は増加のペースが落ち140万人程度で落ち着いていたところ、これからは景気後退期に入ったことでいわゆる「派遣切り」が行われ、今後は数が減っていくのだろう。

 2003年から2007年の4年間に、日本経済が調子を取り戻しつつあったことを反映して、雇用者数(役員以外)は226万人増加した。
 ところが、 その期間中、正規職員・従業員は、逆に3万人減少しているので、景気拡大期の雇用者増はほとんどすべて非正規職員・従業員の増加(228万人)によるものである。
 そして、そのうち、派遣社員は83万人、率でいうと増加分の4割弱(36%)を占め、就業人口の2.2%でしかないものが、雇用者数の増加分の4割近くを占めていたことになる。

 このように、派遣社員が、景気の拡大期は労働力の供給源となる一方で、景気後退期には昨今吹き荒れる派遣切りの嵐に見られるように、雇用調整の主たる対象となっている。
 このあたりの評価は大変難しいところだろう。

 製造業を派遣の対象にしなければ、この83万人がすべて正社員として採用されただろうと考えるのは楽観過ぎるかもしれない。
 企業としては、柔軟に雇用調整ができるから安心して派遣をしてもらったわけで、すべて正社員として採用しなければならないとなると、当然慎重にならざるを得ず、ぐっと少ない数字になったかもしれない。
 とすれば、規制緩和による恩恵もそれなりにあったのかもしれないが、逆に雇用調整期になると、非情にも派遣切りにあう人たちの痛みがクローズアップされるのは、人情として当然のことだろう。

 レイオフが「よくあること」のアメリカと違って、日本社会の意識はだまだ完全雇用時代から変わっていないので、派遣社員といえども首を斬るということは「なんと非情な会社なのだ。」と思われてしまう。
 それに、本来なら、切られた人たちをセーフティネットで社会全体として受けとめるべきなのに、どうもそれが不十分過ぎるようだということもはっきりしてきたので、この制度が日本社会に根付くのは、まだまだ難しいということかもしれない。