気になる数字

メディアに現れた気になる数字の備忘録


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 新聞や雑誌のメディアは統計やデータなどの数字であふれています。
 それは、一般的に数字が主観を排除したハードで冷徹な事実と思われているからですが、実際は、人々は数字を自分なりのコンテキスト(文脈)で利用しようとするため、それ自体は客観的であるはずの数字でさえ、主観的な意味合いを持ってしまうこともあります。
 そういうことに注意しながら、わたしがメディアで目にした数字を取り上げていきたいと思います。
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経済成長率

2008年04月16日

 経済の成長率、つまりGDPの一年間の伸び率は、私たちにとってもっとも身近な数字の一つです。
 1960年代の日本は毎年二桁の経済成長を遂げたが、最近は1%か良くて2%・・・、などという数字は、もっとも身近な統計の一つです。

 この経済成長率に関して伊藤教授(東大院)が興味深い数字を示しています。これは日経STOCKリーグの表彰式&記念シンポジウムでの記念講演を記録したものです(日経新聞2008年4月16日朝刊22頁)。
 伊藤教授によれば、世界の経済成長率は、紀元後から17世紀まではほぼゼロとのことです。そして、18世紀頃に急成長したオランダで年率0.3%程度であり、産業革命時でもある18世紀後半から19世紀にかけての英国で1%、そして20世紀初頭の米国が2%だとのことです。

 算出根拠などは示されておらず、また、きちんとした統計データがない時代の経済成長率ですから、さまざまな推定が入っている数字ではあるのでしょうが、大まかなイメージとしては正しいのでしょう。
 特に、紀元後から17世紀までに世界人口は少ないながらも成長しているでしょうから、経済全体のパイが成長していないとすると1人当たりの経済は縮小しているわけで、個々人ベースでは貧しくなる一方ということになり、にわかに信じ難い気がしないでもありませんが、あの産業革命期の英国でも、日本が低成長だと大騒ぎしていたときの数字である1%でしかなかったというのだから、随分イメージと違うなーという気がします。

 逆にいえば、現代の経済社会の変化のスピードは、昔の人たちの想像を超えるものだということかもしれません。変化の体感速度が、切り上がっているということなのでしょう。

【出典】日経新聞2008年4月16日朝刊22頁