歴史的に不毛な選択を国民に迫る政治の混迷
2010年03月18日
鳩山政権が誕生して半年。
「もう半年がたってしまったのか」と焦る人と、「まだ半年なのか」と天を仰ぐ人。
両者に共通するのは、半年たった今、この政権がほとんど見るべき成果を挙げられない一方で、前政権がさまざまな問題を抱えながらも培ってきた成果を、見るも無残に毀損しつつあるという思いだ。
そんな中で、あえて国民に選択を迫るこの夏の参議院選挙は、歴史的に不毛な選挙として人々の記憶に残るかもしれない。
公共事業の箇所付けを利用して地方への影響力拡大を図る民主党。
民主党自身がその対極として位置づけてきた田中型利益誘導型政治そのものだ。
母親から目の玉が飛び出るような金額の「お手当て」をもらって気づかない総理はともかく、自宅の「奥の間」に億を超える多額の現ナマを、それも臭い出所のものを隠し持って、それで不動産投機に明け暮れる小沢幹事長。
普天間基地の移転先の近くにさえ、しっかりと土地を手当てしていたという。
信濃川河川敷問題で有名になった田中金権政治のフラッシュバックのような話に、昔を懐かしんだ人も多いだろう(笑)。
このように、民主党が打倒したはずの自民党政治を地で行くような小沢政治が幅をきかせる一方で、ちょっとでも批判しようものなら政治資金やポストの配分で冷や飯を食わされる。
そんな「物言えば口寒し」という状態の中で、まともな議論すらできない今の民主党は、自由民主党から自由がなくなっただけだという揶揄は、あながちただの冗談とは思えない。
官房機密費が不透明だと槍玉に上げてきたが、政権についたとたん「そんなもん、あるんですか?」と薄笑いを浮かべて嘯く平野官房長官。
民主党に期待して投票所に足を運んだ人の多くが「あれ?」と感じ始めた瞬間だった。
それからというもの、繰り出す玉はすべて「消える魔球」となって迷走を続けるばかりだった。
基本は国外移設、最低でも県外移設と大見得をきった普天間基地の移設。
米兵による沖縄の少女のレイプというやるせない事件を契機に、気が遠くなるような長い時間をかけて、もうあと少しで手が届くところまで来ていた。
ところが、そんな血と涙の結晶を、まるで玩具のように弄ぶ大臣たちのおかげで、県外移設はおろか、県内移設もままならず、宜野湾市のど真ん中にそのまま居座る公算すら出てきた。
もしそんなことになったなら、総理の施政方針演説で「いのちを守りたい」と連呼した今の政権の責任者たちには、沖縄の人たちに対して、文字通り命で償ってもらわなければならない。
それとも、守りたいのは、政治とカネでとった態度のように、自分たちの政治生命だけなのだろうか。
天下り全廃を公約に掲げて政権をとってみたはいいものの、五十代半ばで勧奨退職をするという「悪しき慣行」を止めさせ、定年まで働ける環境にしようと思えば、国家公務員人件費の2割削減はおろか、むしろ増大する勢いだ。
そのうえ、新規採用を大幅に抑制しなければならないという。
その結果、勧奨退職はやっぱり必要だとして、存続させるべきだと原口大臣などか主張している。
天下り全廃という旗は下げるわけにはいかないだろうから、退職金を少しばかり上積みして早期退職を勧奨するのだろうか。
少しばかりの手切れ金とともに「雇い止め」するという姥捨て山人事政策を目の当たりにして、有為の人材が霞が関を目指すことはないだろう。
民主党とすれば、これで「霞が関の解体」という大公約が名実ともに実現することになるのかもしれない。
しかし、優秀な官僚機構を失って一番被害を受けるのは国民自身だ。
それは、アジアの他の国々を見ればわかる。
日本でも汚職官僚は後を絶たないし、組織的に裏金づくりに手を染めるものもいる。
しかし、民主主義発祥の地であるイギリスであってもそれは同じだ。汚職官僚はいるし、国会議員ですら組織的に詐欺まがいの不正請求をして国民の怒りを買っている。
だからといって、イギリスの民主主義や官僚機構が、アジアや南米の政治や官僚組織のように腐敗しているということではない。
システムの自浄作用が働いている限り、個別の事件が起きても、システム全体が腐敗に犯されることがないからだ。
民主党が本来なすべき仕事は、自民党政権時代にスポイルされた霞が関を、新しい時代に向けて「再生」することであって、「解体」することではない。
有能で意欲のある官僚組織は国家の財産だ。
それは、社会の治安と同じで、築くのは難しく、失うのは容易だ。
下世話な週刊誌読者だけに受けるようなキャッチフレーズを目指すことで、営々と築いてきた国民資産を毀損させてはならない。
特別会計も含めて二百兆円を超える予算を組み替えれば二十兆円くらいはすぐ出てきますよと豪語したにもかかわらず、事業見直しでは六千億円余りしか生み出せなかった。
そのくせ、参議院選挙のための「バラマキ」だけは何が何でもやらなければならので、未曾有の国債の発行と引き換えに子供手当てを実施する。
これで安心して子供を育てる環境を作ると長妻大臣は言うが、返す当てもないような天文学的借金を子供世代に残して、どうして安心して子供を育てることができるのだろうか。
しかも、子供たちへの大きなツケを残しながら導入した子供手当ては、ジャパンの看板を背負って海外で働く日本人の子供には支払われないが、日本に在住する外国人が自国に残してきた子供たちには支払われるという。
日本列島は日本人だけのものではないという鳩山友愛精神の真骨頂なのだろう。
いっそのこと、日本列島は日本人「だけ」のものではないなどと回りくどいことは言わず、「日本列島は日本人のものではない」と言い切った方が、鳩山イズムとしては正確なのではないだろうか。
おそらく中国も南北朝鮮も大いに歴史認識を一にすることだろう。
突っ込みどころ満載どころか、突っ込みどころしか見当たらない民主党に対して、自民党は反撃の糸口さえ見つけられないでいる。
それどころか、いつも見当違いで世間をお騒がせする鳩山邦夫氏が離党して、混迷に拍車をかけ、世間の失笑を買っている。
参議院選挙を前にして自民党の救いようのなさを演出することで兄の鳩山総理を助けるあたりは、やっぱり最後は血のつながりだなあと、人々の気持ちを和ませてくれてさえいる(笑)。
連立与党の一員である国民新党も票の獲得に余念がない。
日本郵政の非正規職員10万人を正職員として採用するという。
これで、正職員として採用される人とその家族で数十万票くらいゲットできると踏んでいるのだろう。
これによって年間数千億円のコスト増になるが、そんなものは国民に付回しすれば済むことだ。
社長に財務省OBの天下りを迎え入れたのに続き、民間会社の人の雇い方まで嘴を突っ込む時代錯誤は、守旧派を自認して憚らない亀井大臣ならではだ。
こんな中でこの夏実施される参議院選挙。
民主党政権にきっちりとお灸をすえなければいけないと考える人は多いが、問題はどうやってそれをするかだ。
圧倒的な勢力の民主党と、見るも無残に生命力を失った自民党のほかは、いくつかの小政党が並ぶという政界構造。
お灸をすえようにも、怒りの受け皿になる政党がない。
かといって、棄権すれば、あらゆる利権を総動員して組織票固めに血道を上げる小沢政治の思う壺だろう。
民主党政権に幻滅し、憤りを感じている多くの人が期待していることは、その怒りの受け皿として自民党が再生することだ。
鳩山総理からカリスマを抜き去っただけのような「市役所の係長のような総裁」ではなく、明確な政治軸と闘争エネルギーを持った指導者のもとに、自民党が収斂していくことだ。
それが実現しない限り、世論調査でどんなに支持率が下がろうとも、小沢幹事長は高枕で鼾をかいて眠れることだろう。
■「長良川河川敷」→「信濃川河川敷」(2パラ)
ケアレスミス (-_-;)
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