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近代民主主義の父(か母からはしらんが)であるイギリスの上院議員が、民主的に選ばれた人たちではなく、世襲だったり、時の政権によって任命された人たちだったりするというのは、日本人にとって意外な話かもしれない。
まして、最高裁判所も兼務しているし、教会のトップ指導者たちまでいる。私のように憲法のテキストを半分くらいかじった人間から見れば、民主的でも、三権分立でも、政教分離でもないじゃん、これ。滅茶苦茶〜、という気がするが、少なくともかの国の多くの国民の目には、選挙で選ばれている下院と同じくらい、あるいはそれ以上にきちんとした仕事をしていると見られている。
人によるだろうが、政治的なモチベーションだけで動く陣笠ばかりの下院よりは、貴族としての自分たちの良識と威信で仕事をしている人たちの方がむしろ信頼もできるし、安定感もある、と思っている人も多いんじゃないだろうか。
実際、立法府のくせに条文審査などほとんどせず、くだらない大臣のくだらないスキャンダルばかり目の色変えて議論しているどこかの議員たちと違って、各界で相当な実績を挙げることでナイトの称号をもらって上院議員の資格を得ている彼らは、個々の条文を指し示しながら、政府側に、かなり渋い質問をできるだけの高い能力を持っている(ビートルズみたいな例外を除けば)。選挙区民の仕事や許認可の口利きがもっとも重要な能力であるこの国の先生たちとはずいぶん違う。
よく、参議院の独自性などという幻想を売っている人たちがいるが、少なくともかの国の貴族院は、十分に独自だ。自分たちが公選議員でないことも十分踏まえた上で、言うべき正論はきちんと言う。
まあ、こういうことがあって、紆余曲折を経ながらも、その無茶苦茶、非民主的な性格にもかかわらず今日まで続いてきたのだろう。
もっとも、ドグマチックな議論からすれば、なぜ民主国家なのに公選じゃないんだという正論に反論するのはなかなか難しく、下院では「他人事」ということもあって、圧倒的多数で上院を完全公選にすべきだと決議したが、そのときだって、かなりの人は実のところ、半々、あるいは8対2というブレンドを選択すると見られていた。もちろん、それは、完全公選にすることによって良識の府の「良識」が失われることを心配してのことだったのだろう。
だとすると、そもそも衆議院と参議院の間に「良識」の差がない、というか、そもそもそんなものがあるのかどうかさえよくわからないこの国で、国会議事堂を美しい対称形にするためだけのために、違いのわからない二つの院を、多大なコストをかけてまで置いておく意味ってあるのだろうか。
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| ■英上院、議員公選制求める決議案を否決(読売新聞 - 2007年03月15日) |
【ロンドン=本間圭一】英上院(貴族院)は14日、上院議員を選挙で選出するとの決議案を反対多数で否決した。
下院は先週、同決議案を可決したが、上院は議員任命制を維持する意思を明確にした。与党・労働党のストロー下院院内総務は、下院決議を受け、上院議員の公選制を柱にした「上院改革法案」の策定作業に入ると見られるが、上院の反発は必至で、両院の対立が強まりそうだ。
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