アメリカより酷いと自己反省する中国
2007年03月04日
人民日報というのは、事実上中国共産党の御用新聞で、日本政府が困ることは好んで書いても、中国政府が困るようなことは基本的に書かない、と思われているが、時々、しんみょうな「自己反省」とかがあったりして、読ませてくれる。
今、全人代やなんとか会議という大きな会議が二つ並行して開かれていて、その総括みたいな記事が、「中国国民の八つの課題」みたいなタイトルで報じられている。(あいかわらず数字が好きだね、中国のキャッチフレーズ)
まあ、一党独裁国家だから、会議自体はただのセレモニーなので、本当に意味での「議論」などはありはしないのでどうでもいいが、そこに大本営発表としての現状認識が示されるのが少しはタメになる。人民日報のこの記事も、それをとてもわかりやすく、学習参考書のようにまとめてくれている。日本の新聞なんかより数倍出来がいい。やっぱり、昔から「理論」を「学習」するというのが建国の柱だっただけある。もっとも、その「理論」自体が正しいかどうかは怪しいが(笑)。
その中に「収入格差」という項目がある。
収入格差を定量的に表現するときに使われるのがジニ係数で、簡単に言えばジニ係数がゼロのときは完全に平等で、1は格差極大ということだが(人民日報の記事はそこまでていねいに解説している)、その数字が0.496に達し、アメリカより悪くなったと、自ら暴露しているのだ。
言うまでもなく、共産主義国家の国民を教育する場合に常に「この世の地獄」として引き合いに出される社会が、資本主義の行き着くところアメリカ社会だった。中国でもソ連でも北朝鮮でもみんな同じ。一部の富裕な資本家が大多数の人民を搾取し、気の毒なアメリカ国民は、「飢える自由」しかない・・・、みたいな、よくあるイメージ。多少当たってるところはあるので、あながち間違いではないが、「まあ、おたくよりはマシでしょ」、というのが、そう言われている側の言い分だった。
ところが、どうしたことか、その中国の大本営自体が、「おれんちは、アメリカ以下だ・・。」と言っているのである。
もっとも記事自体はそこでストップしている。
この先、もっといい事が書いてあったのに、あまりにも「正しい」ことなのでカットされたのか、書いている本人が、「さすがに、ヤベエ。正直になり過ぎた。」と思って止めたのかは知らない。
でも、逆にそこでストップしているものだから、妙な「余韻」を感じてしまうのは、私だけではないと思う。
国家の進歩の利益を、全人民が等しく享受する搾取のない社会を目指した半世紀に及ぶ学習と実験の成果はなんだったのか?
四人組、文化大革命みたいな、秦始皇帝以来の中国史をさらに面白い読みものにするような、でも庶民にとっては「この世の地獄」のような悲惨な経験も、そういう人類の桃源郷がその先にあると信じていたから、俺たちはやってきたんじゃないのか? ところがどうだ、蓋を開けてみれば、資本主義の「象の墓場」のアメリカよりひどいじゃねえか・・・、という記者の悲痛な叫びが、見えない行間に読めてしまうんだが・・・。気のせいかなあ?
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