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権力を権力とも思わない特捜検事たちを、2.26事件を引き起こした青年将校たちと重ねて見る人は多い、
娘を売らなければ一家が餓死するような農村の窮状にもかかわらず、カネまみれの政治に明け暮れる政治家に銃口を向けた青年将校たちに対して、表向きは「無茶はいかんよ、きみ」と言いながら、本心では「よくやった。あんな腐敗した連中、みんなやっちまえ」と思っていた人も多かったに違いない。
ましてや、今回の強制捜査は、「話せばわかる」と言って制する総理に銃弾を撃ち込むのではなく、あくまで捜査権の行使という法の執行なのだから、正々堂々と、決然かつ毅然とやればよい。
法の前にはカネも権力もないのだということを、三たび特捜検事たちが私たちに示してくれることをほとんどの国民が期待していることを、世論調査は示している。
むしろ、多くの国民が心配しているのは、「戦ってください」という総理、「指揮権は存在する」と指揮権を臆面もなくちらつかせる法務大臣、「小沢幹事長の報道をするときはニュースソースを明らかにすべきだ」と言う総務大臣をはじめとして、法治国家を預かっていることを忘れたかのような民主党議員の「口撃」に屈して、捜査の手が緩むことだ。
野党は、そのことを徹底的にチェックすべきだろう。
庶民には手の届かない世田谷の土地を買うためのカネは、小沢氏の「個人資産」だという。
新聞報道によれば、その小沢氏の邸宅には、帝国陸軍のような規律で仕える秘書ですら入ることを許されない「奥座敷」があり、そこには億単位のうなるほどの現金が眠っているという。
今回の「個人資金」もそこから出されたものだろう。
国民が知りたいのは、その「うなるほどの現金」の出所だ。
次第に明らかになったのは、どうやらそのカネが小沢氏が「作っては壊し」を繰り返していた政党の運営資金だったり、ゼネコンからのヤミ献金ではないのかということだ。
しかも、「献金」とは名ばかりで、ダム建設の下請けとして入りたいゼネコンを秘書軍団が恫喝し、巻き上げたカネだ。
そして、もっとも問題なのは、両方とも、元はといえば国民の税金だ。
政党には国の予算から政党助成金が交付され、ダム建設はもちろん公共事業費で賄われる。
昔と違って今は政治資金の管理の仕組みが整備されているので、ゼネコンからのヤミ金も個人のポケットに入れられて「賄賂」となることは少ない。
そういう「難あり」のカネも資金管理団体に入れられて管理されるため、政治家本人に責任が及ぶことはない。
昔は、「政治とカネ」の問題は「ワイロ」の問題、すなわち贈収賄事件として立件されてきたが、これからは政治資金の流れの透明性の問題、すなわち政治資金規正法の事件として取り組まれることになる。
よく「政治資金規正法違反は形式犯だから…」と言われるが、カネの流れが政治の歪みを引き起こすという点では、贈収賄も政治資金規正法違反もたいして違いはない。
だからこそ、「五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金」という、単なる形式犯とは思えないような法定刑を規定しているのだろう。
しかも、いくら新聞報道を読んでもよくわからない資金の流れは、「難あり」のカネをマネーロンダリングして小沢氏の奥座敷に戻す意図もあったのではないかと疑われている。
「権力とは数であり、数を生むのはカネである」というのが日本の戦後政治を決定づけてきた田中派の政治学だ。
その田中政治は、元の宿主が死に体となると宿主を変え、常に政権中枢で生き続けてきた。
言うまでもなく、今の宿主は今回の事件の「渦中の人」だ。
この宿主は、40代の若さで自民党の幹事長を任され、金の力の凄さを知りつくしている。スケールはずいぶん小さいが、土地をネタにした錬金術も師匠譲りなのだろう。
民主党に移ってからも小沢宿主は、金の力をフルに活用している。
今回も幹事長ポストにこだわったのは、党のカネを一手に握るポストだからだ。
18日付け毎日新聞が報じるように、2008年、当時民主党の参院議員だった大江康弘氏(現在は改革クラブ)は、道路政策で小沢執行部と対立し、役職をはく奪された上に、党からもらう交付金も一方的に減額されたという。
小沢氏に「目をかけてもらった」女性の新人候補には7200万円が交付されたのに、減額された大江氏には2010万円が交付されただけだったという。
総理・閣僚をはじめ、今の民主党議員の誰もが、小沢批判をできないのは、そういう怖さが骨の髄まで染み込んでいるからだ。
この日本政治の風土病のような田中ウィルスに挑み続けてきたのが、時として民主主義をも蹂躙してまでも突き進む特捜検事たちだった。
そして、田中、金丸と続き、今回の小沢事件こそが、このウィルスとの最終戦になるのではないかと言われている。
もとはと言えば体外の細菌が細胞に寄生し、今ではそれなしに細胞が生きられなくなってしまったミトコンドリアのように、日本政治の中に田中ウィルスがなくてはならない要素として定着するのか、それとも最後の免疫力を振り絞ってこのウィルスを体外へと排除することができるのか、日本政治の免疫力が問われている。
残念ながら今の民主党は既に免疫力を失い、このウィルスに完全に支配されてしまっているようだ。
しかも、野党第一党である自民党は旧宿主だ。
もちろん、最後の免疫装置は、有権者だ。
しかし、政権をとっただけで節操なく民主党に鞍替えをする医師会を見ればわかるように、有権者の免疫力は甚だ弱々しい。
この弱々しい有権者の免疫力を蘇らせるには、特捜検事たちによる真相解明が不可欠だ。
当時政権与党だった自民党の腐敗体質を、あれほど舌鋒鋭く糾弾していた民主党の人たちのダブルスタンダードには呆れるばかりだ。
自民党政権では、事務所経費の水増しで何人もの大臣が辞めたのに、税金で賄われる交付金でキャパクラに行き、そかも事務所経費の水増しまで指摘された川端大臣が、教育者の元締めとして居座り続けていて、問題にすらされていない。
15億円ものカネを母親からもらったことを「気がつかなかった」と恥ずかしげもなく言い張る総理。
「コンクリートから人へ」と言いながら、コンクリートで生計を立てる中小ゼネコンを、下請け受注をネタにゆすって「献金」させ、そのカネを自らの政治力の源泉としてフル活用する小沢幹事長。
その小沢幹事長に首根っこを押さえられて、一言も声を発することができない羊のような民主党議員たち。
「政権交代を夢見て投票所に足を運んだ私たちが選んだのは、こんな人たちだったのか…。」と、多くの人たちが思い始めている。
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