民主党政権の終わりの始まり
2009年12月16日
民主党政権が始まって100日が経とうとし、そろそろ「始まりの終わり」かと思ったら、普天間問題や中国の副主席の会見問題やらで国民を唖然とさせ、早くも「終わりの始まり」に突入してしまったようだ。
そして、今回の「終わり」のキーパーソンは、またしてもあの人だった。
農協の団体旅行かと見間違うような600人の訪中団を中国側が「快く」迎え入れてくれたことへの「お返し」なのだろう。
他のことは投げ打ってでも、天皇が「次の国家主席」を迎えるのは「当然」だと、小沢天皇が持ち前の倣岸さで言い放った。
もっとも、本当に「次の国家主席」なのかどうかは、中国国内でもまだ決まったとは思われていない。
そもそも憲法が規定する国事行為にも該当しないのに、「国事行為なんだから天皇が内閣の言うとおりに動くのは当然じゃないか。ちみはケンポーを読んだことがあるのか。」と、うろ憶えの知識のために、憲法を読んだことはあるが中国の副主席に会うことが国事行為かどうかまでは確信を持てない記者たちを恫喝していた。
どこかの記者がすくっと立って、「小沢さん、あんたの憲法解釈は間違ってるよ。政権与党の幹事長ともあろう人が、そんなお粗末な憲法知識しか持たなくていいのか。」とでも言ってくれるかと思ったら、やはり政治部、特にこれまで2部リーグだった民主党担当記者の不勉強さはいかんともしがたかった。
「政治主導なんだぞ。税金で食わせてもらっている天皇なんて国家公務員の親玉みたいなもんだから、民主党のの言うとおり動けばいいんだよ。」とでも言いたげな小沢理論は、美濃部達吉博士の天皇機関説が色を失うほど斬新な理論だ(笑)。
小沢幹事長の生涯の師である田中角栄元総理が、日本ではダンボール箱で賄賂を授受した「わかりやすさ」で名を残したのに対して、国交回復を成し遂げた中国では未だに「田中先生」と呼ばれていることにあやかって、小沢先生の中国への肩入れも尋常ではない。
もっとも中国は中国で、大陸侵略の総責任者の息子に面通ししてもらうことが、国家主席レースにとって効果的らしい。
ちなみに、胡錦濤主席も副主席時代の1998年に訪日した際には天皇陛下と会見しており、今回もこれを意識したものということだ。
しかも、日程で天皇に「ゴリ押し」させたということ自体が「ハク付け」になるのだというのだから、アジアの政治には格別の面白さがある
政治家としてのハク付けにお互いの国家元首を利用しあうという「東アジア共同体」の萌芽なのだろう。
経済が危機的な状況だと危機感を煽るわりには、非生産的なゴタゴタばかりで新聞紙面を賑わし、見通しも立てずに調子のいいことを言って「カラ手形」ばかり振り出している今の政権に、国民はそろそろ愛想をつかし始めている。
反日運動ばかり力を入れて頭に来る中国の、しかも「副」主席に、天皇がゴリ押しされることを甘受するどころか、積極的に後押しして、民主党は、天皇を象徴としていただく日本国民のプライドをいたく傷つけたようだ。
数百万単位で票を失った今回の二点セットは、しかし、まだ序の口だ。
「母親丸抱え」の政治資金や、赤字が雪ダルマ式に膨らむ来年度予算編成、無責任国家丸出しのアフガニスタン問題など、これから見どころが目白押しで、楽しみは尽きない。
支持率の半減期もすぐに到来し、支持率と不支持率が逆転する「臨界点」もそう遠くない日に来るだろう。
来年の参議院選挙を前に、勝利投手の権利を得る5回は投げきってくれるかと思ったら、意外と降板は早いようだ。
ところが二番手以降のピッチャーは、見つからない。
天皇をアゴで使う「実力者」は、ペナルティーのために出場停止中だし、菅副総理はほとんど見るべき成果もなく、戦略なき戦略相だということをさらけ出してしまった。
今の内閣はすべての代表候補者をフルキャストで使っていて、素人感覚丸出しの今の政権の中でそれぞれに傷を負っている。
クリーン・スタートを切れる人が見当たらない。
明らかになりつつあることは、来年の参議院選挙で民主党が単独過半数を得てウザい小姑たちと手を切り、単独政権を実現するのは、かなり難しいだろうということだ。
その意味では、連立を構成する小党たちの目論見どおりということになる。
その結果、今の連立の枠組みを維持するか、あるいは連立でも過半数をキープすることができず、再び「ねじれ」の状態になるのかもしれない。
投票率の低下を背景に公明党が党勢を伸ばすなどして、新たな連立の枠組みを探る局面になるのか、それとも自民党が奮起して議席を伸ばし、政権奪取を目指す「野党連立」の状態になるのだろうか。
いずれにせよ、民主党が安定した政治基盤の上に一貫してわかりやすい政策を打ち出していくことは難しいだろう。
かといって、衆議院では絶対多数を確保しているので連立が崩壊したからっといって民主党が下野することにはならない。
衆参でねじれになろうが、4年間は政権を担当し続けるのだろう。
しかし、フルキャストの内閣でこのような無残な有様なので、今後、経済が目ざましく上向き、国民がウハウハするくらいに雇用が改善し、給料が上がり、企業収益が上向く夢のような状況にでもならない限り、政権が浮揚することを期待するのは難しい
とすれば、右肩下がりの経済にホトホトうんざりしている国民は、4年間もの間、ジグジグと不満をため続けることになるのだろう。
そして、4年後の総選挙でため続けた不満が一挙に吐き出されることになる。
したがって、今後の政治の行く末は、この不満を、どの政党が自分たちの政治エネルギーとして取り込むことができるかにかかっている。
もちろん一番の受け皿候補は自民党だろうが、そのためには、自民党が支持者の期待に応えてきちんと党改革を成し遂げることができるかにかかっている。
族議員の跋扈を抑えた政党ガバナンスを実現できるか。
国民にわかりにくい派閥均衡政治ではなく透明な政策論争を通じて政策アジェンダがまとめられ、それを中心に能力主義の人事が徹底されるか。
民主党政権が新たなスタンダード(標準)として設定した政党ガバナンスのメルクマールに達することが、最低限の条件になろう。
国民の不満が積もり積もっていく中で、それをきちんと受け止める「別の選択肢」がないままであれば、その先は暗黒の「政治アパシー」か、実力で不満をぶちまけるテロ社会が待っているだろう。
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