時の記憶

時代の記憶として残したいニュースの勝手な論評です。


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 メインストリームのニュースから少し外れたところにこそ、えてして時代の真実が隠されています…などと、たいそうなことを言うつもりはありません。
 でも、ちょっとしたニュースに何を感じ、何を考えたかを残すことで、自分の人生の軌跡みたいなものを残せないかな~と感じています。
 なので、私小説的な時事論評として読んでいただければと思います。
 もちろん、感想は下の「作者にメール」でお寄せください。
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与党となった民主党が答えなければならない疑問

2009年10月05日

 新聞報道により、原口総務大臣が、NTT労組の政治団体から500万円の寄付を受けながら、政治資金収支報告書に記載していないことが明らかにされた。
 自分自身が所管している法律さえきちんと守れない者が大臣をしていることに呆れるが、この「記載もれ」については、就任に当たってNTTに関して行った発言が思い出される。
 それはあたかも、NTTの独占体制を擁護するどころか、さらに強化すべきと主張するかのような発言だったが、このような発言でNTTの「期待に応えた」裏には、こういう「後ろめたさ」があったのかと、「ほれみろ、やっぱり」という声が上がっている。

 野党のときは大して問題にならなかったことでも、与党になったからにはきちんと答えなければならないことがある。
 野党のときは国家権力をチェックすればよかったが、与党になれば国家権力を行使する立場になるのだから、当然のことだ。
 そのような疑問の最大のものが、「君たちは、いったいどういう人たちなんだね。」という問いだ。

 自民党は、選挙期間中のネガティブキャンペーンで、民主党候補者の多くが日教組や労組出身者だといった。
 しかし、日教組や労組出身者ということ自体が問題となるのではない。
 本当の問題は、日教組の時代に、労組の時代に、彼らがどういう思想に基づき、どういうことをしてきた人たちなのか、ということだ。
 より広くは、その政治キャリアで、どのような人たちの支持をうけ、どのような人たちと付き合い、どのような活動をしてきた人たちなのかということに対して、国家権力を行使する立場の人たちは、きちんと答えられなければならない。

 朝日新聞10月5日(夕刊)は、浄化槽業者の団体が民主党・参院議員の前田武志氏や石井一氏のパーティー券を大量に購入していることを報じている。
 前田議員が2007年3月に合併浄化槽の設置を促す国会質問をしている。朝日新聞の取材に対し前田議員は、「パーティー券の購入は、質問とはまったく関連ない」旨、答えているが、「そうか、関係ないのかー。」と納得する人は、一人もいない。
 京大工学部を卒業して建設省に入り、「心寛く志高し」を座右の銘とする前田議員ともあろう人が、政治家が最も気をつけなければならないことの一つが「李下に冠を正さず」だということを、知らないはずがないだろう。

 このほかにも、朝日新聞の同記事によれば、パチンコ会社が民主党本部のパーティー券を大量に買い、「新政権にはパチンコ玉の換金の合法化などを期待している」と業界幹部が述べているという。

「ネットワークビジネス推進連盟(NPU)」という業界団体がある。
 なにやらIT企業の団体のようだが、実はマルチ商法でカネ儲けをする業界の政治団体だ。
 そのホームページを見ると、前田雄吉氏がアドバイザーを務めている。
 民主党の元・衆議院議員で、小沢一郎グループの「一新会」の事務局長を努めていた人だ。
 政治資金収支報告書によれば、このNPUが民主党本部のパーティー券を沢山購入していると、朝日新聞は報じている。
 民主党議員は、これに応えるかのようにマルチ商法を振興するための「健全なネットワークビジネスを育てる議員連盟」を作ってマルチ業者擁護を唱えたり、マルチ商法業者が会員を勧誘する講演会で講演したりしたという。
 今なお多くの被害者を生みだし社会問題化しているマルチ商法を振興することが、生活者重視、生活再建を党是とすることと、なんら矛盾を感じない神経は、さすがと言える。

 さらに、このような利権がらみではないが、あの団体との関係に触れないわけにはいかないだろう。
 民主党の中堅・若手議員がよく参加しているシンポジウムを主催する団体に「がんばろう、日本! 国民協議会」というものがある。
 このホームページを見ても、原口総務大臣をはじめ、多数の民主党議員が名前を連ねているのがわかる。

 この「がんばろう、日本! 国民協議会」は、日大出身で全共闘上がりの戸田政康氏が代表を務める「民主統一同盟」が母体だが、よく知られているとおり、この団体は極左団体のマル青同(マルクス主義青年同盟)の後身だ。
 マル青同といえば、当時を知っている者は、迷彩服に竹槍という右翼のようなスタイルで行動し、反米愛国を掲げる「いかれた奴ら」というイメージだろう。
 1974年のフォード大統領来日に際して、米ソ両大使館を襲撃し、火炎瓶を投げ込み、その翌年の東京都知事選挙では、杵淵美和子氏を公認候補として立てたが、わずか2,478票しか入れてもらえず、敗北している。

 このマル青同という名を聞いて思い出すのは、岡山大学北津寮襲撃事件(1975年)だ。
 この事件は、当時、中国地方に拠点がなかったマル青同が岡山大学を拠点にしようとオルグ活動に乗り込んできた際に引き起こした事件だ。
 寮の集会にマル青同の活動家たちがマイクロバスで突っ込み、学生一人を轢き殺したほか、多数の学生に重傷を負わせている。
 彼らは、轢き殺した学生を近くの山林に埋めたたが、4日後に発見された遺体は、証拠隠滅のため、頭や顔を「原形をとどめないほど」に損傷していたという。

 1978年6月30日の岡山大学新聞によれば、当時の状況が次のように描かれている。

「中でも自主管理・自主運営で無条件新寮建設を斗って来た北津寮に対し「寮斗争は反革命経済斗争である」と決め付け、「マル青同の統制に服するのか否か」「我々は我々以外の一切を許さない」とナイフをちらつかせて寮生を恫喝した。
 寮生の反発にあい、拠点化に失敗した彼らは5月25日夕方、30人余りの部隊で寮を取り囲み、寮生に無差別のテロ、リンチを開始した。5時過ぎ彼らはいったん引き上げたので、寮生は医師を呼んだが、その場では手の施し様が無った。
 ケガ人と看護の者を残し寮生が学内抗議デモに出た途中、「マル青同」は寮を再襲撃し、医師が「死んでしまう]と止めるのも無視しケガ人にリンチを重ねた。これに対しデモに出ていた寮生約100名は教養部東南に集り、人質の安否を気づかっていた。
 8時10分頃、「マル青同」はマイクでの「殺せ! ひき殺せ!」の絶叫と共に、宣伝カーを全速力で寮生の中に突っ込ませ、大沢真君(理学部一年)をひき殺し多くの寮生に重軽傷を負わした。大沢君の遺体は29日、顔をつぶされた無惨な姿で山中に埋められているのが発見された。」

 マル青同は、共産党に共闘を申し入れたが、暴力事件に対する総括がきちんとなされないということで、共産党ですら共闘を拒否している。
 かつて暴力革命を実践していた共産党ですら、マル青同は暴力闘争に対する総括が十分でないと赤旗で徹底的に非難したのだ。
 政治的意思を暴力で実現することに何のはばかりもない極左集団の系譜をくむ政治団体に、民主党の多くの議員が肩入れしているのは、なぜなのだろうか。
 議会制民主主義を強化していくという立場と、どのように折り合うものなのか、きちんとした説明を聞きたいところだ。

 民主党は、これまでの自民党政治を利権政治と断罪し、そういう民主党とは、さぞかし清廉潔白な政党なのだろうと、国民は喝采を送った。
 ところが、その民主党はパーティー券を大量に購入してもらった業界を露骨に擁護するための国会質問をしたり、自民党ですら相手にしなかったマルチ商法や極左暴力集団関係者からさえ支持を得ようとする。
そんな民主党に、「君たちは、いったい何者なんだね。」と問わずにはいられない。

 総選挙で圧倒的多数を民主党に与えてしまった国民は、その後、ボロボロ出てくる民主党の「過去」を前に、「よわったな。きちんと素行調査をせずに、入社させちゃったよ。」と思い始めている。
 そもそも、民主党の代表と幹事長という二大権力者が二人揃って、政治資金に不明朗さを抱えている。

 幸いなことに、新たに入社した新入社員は、半年間はいわゆる試用期間だ。
 民主党も、来年の参議院選挙までは試用期間だろう。
 問題があれば、そこで辞めてもらわなければならない。

 自民党に対する怒りのあまり頭がカーッとして、手を抜いたしまった事前面接と素行調査を、これから来年の参議院選挙までにきちんと行うべきだろう。
「口先では『いい事』を言っているが、そういう『いい事』を言っている君たちは、いったい何者なんだね。」という質問に正面からきちんと答えられるかどうかは、その「いい事」が信用できるかどうかを判断する上で不可欠なことだ。
 国民に代ってそういう素行調査をすることは、野党である自民党、共産党の重要な仕事の一つだ。
 ぜひ、しっかりやってもらいたい。


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