時の記憶

時代の記憶として残したいニュースの勝手な論評です。


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 メインストリームのニュースから少し外れたところにこそ、えてして時代の真実が隠されています…などと、たいそうなことを言うつもりはありません。
 でも、ちょっとしたニュースに何を感じ、何を考えたかを残すことで、自分の人生の軌跡みたいなものを残せないかな~と感じています。
 なので、私小説的な時事論評として読んでいただければと思います。
 もちろん、感想は下の「作者にメール」でお寄せください。
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戦う前から気になる自民党の「戦後」

2009年08月20日

 戦う前から勝敗が見えている今度の選挙に関しては、勝敗の予想ではなく、自民党の「負け具合」に関する予想が中心だ。
 改選前議席からマイナス100なら持ち堪えられるが、マイナス150なら自民党は解党的危機を迎えるだろう、といった具合だ。
 その自民党の「戦後」は、日本政治にとってどういう意味を持つのだろうか。

 将来とは不確実なものだ。
 なので、人は、過去から将来を推し量るしかない。

 今度こそはタバコをやめると禁煙を誓ってみせるものの、1週間後には飲み屋で「やっぱり、人生、楽しまなくちゃな。」とライターで火をつける様子を何度も見せられてきた。
 なのに、「俺、今度こそはタバコやめることにしたよ。」と言われても、眉に唾をつけるしかない。
 自民党の公約を読んだ人々が、細かい矛盾や不足はさておき、そこに書かれている殊勝な決意に対して感じることは、そういうことだ。

「政権選択ではない、政策の選択だ。だから、国民のみなさん、よーく政策を比較してください。」と麻生総理は、公示後の街頭演説で声を上げた。
 しかし、彼の言っている「政策」は、いい加減な男の禁煙宣言みたいなものだと多くの国民が思っている。
「あいつ、また言ってるぜ。」とせせら笑われてしまっているのだ。

「どっちに政権担当能力があるのか、よく考えてくれ。」
 麻生総理は言う。
 しかし、国民は、「たしかに民主党にどれだけあるか未知数だが、今の自民党にないということは痛いほど思い知らされた。」と思っている。

 麻生総理は、こうもいう。
「これまでの実績を見てくれ。」
 しかし、「そんなことは言われなくても見てきたよ。見てきたからこそ、あんたたちにはもう任せられないんだよ。」と多くの人は思ってしまっている。
 そして、「30日には絶対投票所に行くからな、みてろよ、このやろう」と凄んでいるのだ。

 つまり、多くの国民にとって今回の選挙は、自民党の負の遺産を糾弾する選挙になってしまっている。
 民主党の鳩山代表は、そのことを十分に理解し、自民党の負の遺産に国民の目を集中させているのだろう。
 かといって、そういうことが、なにも後ろ向きとばかりは言えない。
 不確実な将来を推し量るためには過去を参考にするしかないからだ。
 実績のない民主党の政権担当能力を証明することはできないが、自民党にそれがないことは過去の実績で証明できるからだ。
 天気予報が当たるかどうかは証明できないが、外れたことはデータを上げて示すことはできるのと同じだ。

 この総選挙で戦う自民党候補者は、ほとんどガダルカナルで戦った日本軍兵士と同じ気持ちだろう。
 既に自民党は戦う前に負けている。
 今度の総選挙は、ただそれを確認するための儀式なのかもしれない。

 いずれにせよ、かつての日本軍がそうであったように、愚かな指導者たちのために多くの戦死者を出すことだろう。
 しかし、日本を焦土にしたあの戦いの後でも、日本人は日本を捨てず、廃墟の中から世界第二位の経済大国として再生させたように、敗残した自民党員も、安易に自民党を捨てるのではなく、この犠牲の上に自民党を再興されなければならない。

 敗北するであろう自民党には、強い政党として蘇るという大きな使命を負っている。
 保守を掲げる政党として、国民の政権選択の重要な選択肢であり続けなければならないからだ。
 仮に民主党が自民党を追い落とし、政権の座に座るとしたら、今の自民党がそうだったように、その瞬間から腐敗を始める。
 そして、民主党のおかげで変わったカネの流れが、いつの間にか既得権益と化し、さまざまな形でのしがらみや癒着の構造を生み出すだろう。
 それが、自由な政策決定を縛り、自縄自縛となって政策の沈滞を生み出すだろう。
 もっとも、連立政権そのものが、内部にはらむ矛盾によって自壊しなければの話だが。

 初めての政権選択選挙を前に国中がユーフォリアの中にあるが、国民がやっとのことで手にした政権選択権を、日本政治にしっかりと根付かせなければならない。

 中身のない権力にだけ惹かれ、「勝ち馬に乗れ」、「沈没船から逃げろ」とばかり、主義も思想もない数合わせの再編に奔走するようであれば、最初から負けると分かっている戦いでも自民党に投票する戦友の気持ちを踏みにじることになるだろう。

 戦後の日本人が、祖国を思い大陸で、そして太平洋で死んで行った戦友たちを胸に、死に物狂いで働いて日本を再興したように、「自民党の戦後」を預かる人たちは、これまでのような、既得権益でぶよぶよになった醜い利権党がもたらした焦土の中から、スマートな頭と暖かい心で人々の創意工夫を活かし、自助・共助・公助のバランスした強い社会を生み出す新保守主義を、この日本で再興してもらいたい。


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