時の記憶

時代の記憶として残したいニュースの勝手な論評です。


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 メインストリームのニュースから少し外れたところにこそ、えてして時代の真実が隠されています…などと、たいそうなことを言うつもりはありません。
 でも、ちょっとしたニュースに何を感じ、何を考えたかを残すことで、自分の人生の軌跡みたいなものを残せないかな~と感じています。
 なので、私小説的な時事論評として読んでいただければと思います。
 もちろん、感想は下の「作者にメール」でお寄せください。
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同時に進む二つの解散

2009年07月19日

 自民党の執行部は、中川秀直議員らが開催を求めた両院議員総会ではなく、議決権のない懇談会を開くという。そして、あろうことか、自民党が国民に対して連対責任を負う政権マニフェストの作成は、反対派の議論を封殺するために非公開で行うという。
 このような中、政界再編は不可避と見るや、沈没船からネズミたちが一斉に逃げ出すように、麻生離れどころか、自民党からさえ離れようとする動きが出始めている。
 今、永田町では、衆議院の解散と、自民党の解散の二つの解散が同時並行で進んでいるかのようだ。

 議決権のない懇談会であれば、どんなに突き上げられようとも麻生降ろしに発展することはない。マニフェストも、作って配ってしまえば後の祭り。どうせ議員は選挙区に戻ってドブ板の上を歩き回るしかないのだ。
 執行部の考えはそんなところなのだろう。

 しかし、有権者が自民党に背を向け、民主党を向く理由は何か、ということを真剣に議論し、必要ならば、時間が限られているとはいえ、自民党が変わるというメッセージを国民に向けて発信するためには、議決権のない懇談会という名の「説明会」では話にならない。

 政党が構成員全員でその実現に責任を負う政権マニフェストの作成は、全員参加の議論を経て作り上げられなければ、出来上がったものを議員や候補者たちが「自分のもの」と思って選挙戦に臨むことはできない。反対論を恐れて密室で行うというのは、卑怯で姑息な小役人的発想だ。
 それに、「そもそもマニフェストなんて、そんなもんなんだよ」、という投げやりで無責任な姿勢が透けて見える。そんな連中が作った出来の悪い作文を、国民が信用して一票入れるとでも思っているのだろうか。

 そんな中、山梨県では、これまで自民党員として党費まで払ってきたガチの支持者3,648人が離党届けを突きつけたという。自民党の公認を得られなかった長崎幸太郎議員の支持者が中心だというので、動機の方はともかくとして、自民党政権のメルトダウンを象徴するものとなった。
 その他にも、ついちょっと前までは麻生政権の守護神を自認していた鳩山邦夫議員も公然と新党結成の可能性に言及する有様だ。
 宮沢政権が倒れ、細川政権が誕生した政権交代劇のときもそうだったが、政権が倒れるときというのは、まさに船が沈没するときと同じで、一刻も早く沈没する船から遠ざからないと、自分も巻き込まれてしまって浮上できなくなるのだ。
 沈没船からできる限り遠く離れ、そして救命いかだに這いのぼって一命をとりとめるしかないということだ。

 麻生総理が本当にそういう気でやっているのかどうかは知らないが、総理が仕事を投げ出すというブザマな姿を二代続けて国民にさらしてしまったので、ここは同じことを三度繰り返さないためにも踏ん張らなければならないという気持ちはわかる。
 そして、ポスト麻生となるべき衆目の一致する候補がいない中で麻生降ろしが現実化すれば、それこそ党が空中分解してしまい、それでなくても惨敗が確実視されるているのが、それこそ自民党が消えてしまうくらいの負け方をするのではないかとの心配ももっともだろう。

 しかし、今回は、麻生総理はもう既に十分過ぎるほど「抵抗勢力」として頑張ったのだし、決して仕事を投げ出したのではなく、あまりに仕事ができないので職場を「クビ」になったのだと、多くの国民は理解している。
 総理としての「試用期間」を過ぎてみれば、一国の宰相としては「まったく使えない」ことが、誰の目にも明らかなので、そういう人を辞めさせることについて、反発する国民は、密室でマニフェストを作文している菅義偉議員のような麻生フレンズだけだろう。

 それに、これまでの自民党の実力をもってすれば、真に党が共有できるマニフェストとリーダーを生み出すことくらい、決して不可能なことではないだろう。
 民主党だって、小沢代表の西松疑惑の危機の際に、たった2日でそれを成し遂げたではないか。
 投票率をできる限り抑えるために麻生さんが「熟慮」の末選んだ8月30日投票のためには、どうしても21日に解散しなければならないというわけでもないだろう。憲法は、あくまで解散から40日「以内」と言っているだけなのだから。

 それに、この解党的危機の中で自民党が若手を中心に鋭い蘇生力を見せれば、離れていった支持者も必ず戻ってくる。
 一刻も早く選挙活動に専念することも大事かもしれないが、勝てる党として出直す方が選挙戦を戦うためには何倍も効果のあることだろう。
 何よりの証拠は、民主党がそれを一番怖れていることだ。

 日本には二代政党制はなじまないんじゃないのかと言われ続け、いざ民主党が小沢一郎氏の力でここまでくると、今度は自民党が崩壊しそうになっている。
 これでは、せっかく有権者が手にする政権選択の自由が、また失われることになってしまうではないか。
 強すぎる自民党に辟易させられ続けた後で、今度は消えてしまうのではないかとハラハラさせられるというのは、なんともやるせないが、日本の民主主義を守るために、日本の保守主義を守るために、ここぞというときの自民党議員の奮起を期待し、声援を送っている支持者が、大声は上げないかもしれないが、無数の夜空の星のごとく静かに光っていることを忘れないでほしい。


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