GMのセールスマンの気持ちがわかる自民党候補
2009年07月13日
都議選が「想定どおりに」自民の惨敗に終わり、次の焦点は解散総選挙の時期と、自民党が選挙の「顔」をすげ替えるのかどうかに世間の関心の焦点が移ったようだ。
麻生総理は、男の沽券にかかわるとばかりに「自ら解散」に固執しているようだ。
しかし、誰もから「自民党の負の遺産」と思われている麻生総理の指導力は、ゼロどころかマイナス・レベルにまで落ち込んでいるので、閣議で解散詔書への閣僚の署名を集めることができるのかさえ危ぶまれているありさまだ。
昨日の都議選で麻生総理が脳死状態になり、生命維持装置につながれたとしたら、自ら解散に失敗した後ば、もうまぎれもなくゾンビ状態になるだろう。
そして、そういう人が党首でいつづける自民党そのものへの失望を、さらに深めるだろう。
登場したときには、およそ毛並みのいい政治一族の末裔には見えない強面と、クールビズのときには胸元に金の鎖をちらつかせる「堅気らしからぬ」センスで、「これは何かしてくれるかも」と世間の期待を集めたが、ほとんど何一つ「らしさ」を発揮できずに、こんな痛々しい末路を迎えるとは誰が予想しただろうか。
最後くらいは「自ら解散」を成し遂げて、自らの手で生命維持装置を外す潔さくらい見せてほしいところだが、結局のところ、自民党政権の死期を少しばかり早め、そして、自民党の「負け」を少しばかり深くすることになるだけだろう。
「このままでは選挙は戦えない」と自民党議員の悲痛な呻きが永田町の党本部にこだまする中で、腰の定まらない若手を中心に麻生降ろしにさらに拍車がかかっているようだ。
小泉選手の後、既に三人の打者が三振で倒れたので、次は相手チームの攻撃のはずだが、もう何人の選手が出たのかさえ人々の記憶があやふやになっているのをいいことに、強引に四人目をバッターボックスに立たせようという「戦術」なのだろう。
しかし、なぜ、自民党が負け続けているのかについての深い考察がないままに、やみくもに選手を浪費し続けるばかりか、まともに一軍で試合をしたことのない二軍の控え選手のような者にまで声を掛けて、「最初から四番打者ならいいよ。」と足元を見られているようでは、選挙民のさらなる失望を買うだけだ。
なぜ自民党が負け続けているかといえば、戦後の自民党政治のモデルが新しい時代に通用しないものになっていて、このままでは日本が出口のない閉塞状況に落ち込んでしまい、もう二度とはい上がれなくなってしまうのではないかと、国民が思っているからだ。
そして、今回の金融不況がそれに拍車をかけているのだろう。
何も変わらない、何も良くならないままにズルズルと悪い方に行き、格差社会どころか一億総下層化へと向かっているのではないかという恐れだ。
党首が選挙の「顔」として威力を発揮するのは、政党が掲げる政治モデルを象徴するからだ。
ところが、今の自民党のように、完全に「型落ち」したモデルの車では、どんなセールスマンを持ってきても、「売れないものは売れない」のだ。
これまで自民党に投票していた多くの人たちが民主党に入れたのは、「いったいいつまで、こんなポロ車を売り続けてるんだよ。」という声なのだということを、きちんと認識すべきだ。
競争相手の販売会社が売り込んでいる車にはベールがかかっていて、どんなモデルなのかさえはっきりとしないのに、「まあ、こっちのポロ車よりはマシだろう。」と言って、乗り替えている有様なのだ。
政党というのは、政治モデルという「商品」を国民に買ってもらう商売だ。
国民の方は、公約というカタログを見たり、演説というショールームで現物を見たり、人々の評判などを聞きながら、どっちの商品の方が性能が良くて安いかを見比べて、購入する商品を決める。
カタログにいいことばかり書いてあっても、それが本当かどうかを見極めることが大事だし、言っていることとやってることが一致しているかという、会社としての信用も重要だが、やはりどちらの商品が本当にいいものかどうかが決め手のはずだ。
その意味で、自民党は、売っている商品の魅力が決定的に劣っていて、もはやどんなセールスマンを投入しても、大して売上が伸びないところまできているのだ。
商品力が決定的に不足する中で広告宣伝費ばかり使って会社の体力を落とすより、ここは基本に立ち返り、商品開発に力を入れる以外、政治市場での競争に勝つ術はないのではなかろうか。
直前に迫ったセールに間に合うように次々と新しいセールスマンを雇うようなことばかりして、商品の市場競争力の劣化という本質的な問題から目をそらし続けると、いつまでも「勝ち目のない商品」を、小手先の改良ばかり施して売り続けなければならず、長期的な社運を傾けることになるだう。
自分が売っている政治が、経済社会の変化にうまく対応できず、その商品生命を終えたときは、潔く撤退し、裸一貫一から出直すくらいの覚悟も必要だ。
政党にとって、下野の期間は、長くて苦しい時間だ。
しかし、そのような期間を乗り越える中で、次の時代の有権者に買ってもらえる革新的で本当に良い「製品」を生み出すことができる。
有権者にとっての二大政党制の真のメリットは、セールの「値引き競争」などではなく、ましてやセールスマンの「イケメン度」を競わせることでもなく、このような暗くて苦しい時間を経験させることで政党を強くし、本当に消費者が納得する「製品」を開発する力をつけさせることだ。
イギリスでもアメリカでも、二大政党はこうやって切磋琢磨し、政党力をつけてきた。
日本の自民党が、長期政権の上で安穏とした生活ばかり続けていると、甘やかされ続けてダメになったGMみたいになってしまうだろう。
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