時の記憶

時代の記憶として残したいニュースの勝手な論評です。


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 メインストリームのニュースから少し外れたところにこそ、えてして時代の真実が隠されています…などと、たいそうなことを言うつもりはありません。
 でも、ちょっとしたニュースに何を感じ、何を考えたかを残すことで、自分の人生の軌跡みたいなものを残せないかな~と感じています。
 なので、私小説的な時事論評として読んでいただければと思います。
 もちろん、感想は下の「作者にメール」でお寄せください。
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本当に更迭が必要なのは誰なのだろうか

2009年05月20日

特捜のがさ入れかと間違うほどの書類を出させたわりには、未だに何も出てこないかんぽの宿問題で、まるで西川社長が犯罪者であるかのような騒ぎ方をしているのに、旧郵政省以来、公然の秘密となっていた割引郵便の不正利用で地検が強制捜査しているのに、何もせずにじっとしている。
 あげくの果ては、この問題が官側の負の遺産であるにもかかわらず、その責任を民からやってきた西川社長に押し付けて、西川社長の更迭を画策している。
 国民の側から見れば、本当に更迭が必要なのは、更迭をちらつかせている鳩山大臣の方ではないのかと思えてしかたがない。

 草薙事件のときも、うまく世論に「乗ろう」と猿知恵を働かせ、「最低の人間だ」と大見得をきったはいいものの、女性有権者を中心に抗議の渦が巻き起こると、途端にしおらしく「反省の弁」を述べる。
 高校時代、代ゼミの模試を一番で通した秀才なので、機を見るに敏なのだろうが、いかんせん、世論の波に乗ることばかりを考えている政治サーファーのようなその言葉は、あまりにも軽い。
 お互い祖父ゆずりの毛並みの良さもあって、ことあるごとに麻生首相の「お友達」であることを誇示することで閣内重鎮としての存在感を示しているようだが、祖父とは似ても似つかない「軽さ」においても似合いのコンビなのだろう。

「かんぽの宿」では、世論サーフィンにうまく使おうと大騒ぎしてにっちもさっちもいかない状態になり、結局は赤字を積み増し、かんぽの宿という組織の親方日の丸体質を温存しただけに終わった。
 得をしたのは、どんなに赤字でも関係ない安定した天下りポストを維持できた旧郵政関係者だけで、「怪しい、怪しい」とネットや新聞で大騒ぎしている連中も含めて、すべての国民のツケとして残ってしまった。
 ルールに従って、経済合理性のある価格で買うだけでここまでネガティヴ・キャンペーンの対象になるのでは、まともな企業はもう手を出せないだろう。

 今回の郵便事業会社社員の逮捕についても、一貫性もなにもない対応ぶりは見事だ。
 郵政省、そして郵政公社になってからも、本省から課されたノルマを達成するために、現場ではかなり「無理」をすることがあったことは、よく知られている。
 その一方で、強力な労働組合をバックに、現業職員を中心にモラルの低さも目立ち、処分の多さでも郵政公社は霞が関随一だったそうだ(読売5月20日)。
 その意味で、今回の一件は旧郵政省以来の「伝統」に強制捜査のメスが入ったということだろう。
 今、総務省に「残っている」人たちも、旧郵政省以来のこの問題はよく知っているはずだし、不正が常態化していることも知っていたはずだ。
 そもそも、多くの幹部職員は若い頃に郵便局長として実務経験を積んで本省に戻るし、そうでなくてもそういう現場の実態に触れないでいることはあり得ない。

 だとすれば、東京地検の向こうをはって手柄をあげることに血道をあげている京都地検の強制捜査を待つまでもなく、総務省として調査をし、正常化を図るチャンスはこれまでにいくらでもあったはずだ。
 そもそもそういうことが行われていることを当事者として知っているわけだから、調査も、そしてその後の再発防止措置についても、ツボを得たものになっただろう。
 しかし、それをまったくやってこなかった。
 この責任は、いったい誰にあるのだろうか。

 新大阪支店では支店長が逮捕されたのに、新東京支店では総務主任という課長ですらない「かなり低い」ポストの人が逮捕されただけだ。
 そもそも全国的に蔓延していたと思われる悪しき慣行なのに、どうして、この二支店だけで、しかもこの二支店の間ですら「逮捕」される人にこれほどの開きがあるのだろうか。
 もちろん、これらの二人が、たとえ慣行とはいえ悪事に関わっていたのであれば、逮捕する法律上の理由はあるのだろう。
 しかし、本省も含めて郵政全体で取り組むべき問題だったのに、それをやってこなかったために、新東京支店では総務主任という小官が逮捕されることになってしまった。
 これは、新大阪支店長のように「潔く」責任をとることを新東京支店長が嫌がったのか、それとも、新東京支店長がうまく逃げおおせたのに対して、新大阪支店長がヘマだったのかは知らない。
 逮捕する側の京都地検としては一罰百戒という趣旨だったのだろうが、この二支店だけということや、しかも両支店での逮捕者のランクが大きく違うということに、恣意的で不公平だという気持ちを抱く人も多いだろう。
 功名心に燃えている京都地検の、こんな「気まぐれ」逮捕を待つことなく、もっと早い時期にきちんとした監査を行い、関係者一同をすべて処分し、きちんとした再発防止策を講じることの方が、よっぽど効果があり、公平で、将来のためにもなっただろう。
 それを、旧郵政省も、郵政公社も、そして郵便事業会社も総務省もやってこなかった。
 そして、今も何もしていない。
 挙句の果てに、大臣が、自分が希望する人事構想を実現するための「材料」に使おうとすらしている。

 民営化後の郵政に問題が多い。
 郵政公社から移った人たちの「役人体質」や西川社長の「か弱い指導力とガバナンス力の欠如」、そして西川社長が親元からひきつれてきた人たちの「能力不足と脇の甘さ」、さらには両陣営の確執など、本当にこれでこんな巨大な企業集団をうまくリードしていけるのだろうかと心配になるのも無理もない。
 こんな問題の大きい郵政を、今の西川社長のリーダーシップに任せ続けて大丈夫なのだろうか、もっと他に適任者がいるのではないだろうかという議論なら、国民としても理解できる。
 しかし、官側の返り咲き人事を実現するための「民間人苛め」だったり、小泉改革に対するネガティヴ・キャンペーンだったり、郵政民営化の巻き戻しのための地ならしだったりしたのでは、ポスト西川を考えるにせよ、まともな民間人はそっぽを向くだろう。
 もっともそれこそが、官の返り咲きを狙う人たちと、それに媚びる鳩山大臣の思う壺なのだろうが。


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