酔いどれ会見でG7関係者を救った中川大臣
2009年02月18日
酒癖で数々の「武勇伝」を誇る中川大臣が、国民の期待にたがうことなく、やはり国際舞台でも見せてくれた。
何一つみるべき成果もないG7で、「噛み合った」会見をされたら何も報道するネタがなくて困っていたはずのところ、「酔いどれ会見」で各国メディアに手土産をあげた中川大臣にそっと心の中で感謝する報道関係者は多い(はずだ)。
ロシアのエリツィン大統領は、はるばるやってきたアイルランド首相との首脳会談を、ウォッカを飲み過ぎてすっぽかしたし、クリントン大統領は、歴史と伝統の象徴である大統領執務室(オーヴァル・ルーム)で、若くてグラマーな研修生と「いけないこと」をした。
二大国の最高指導者がそんな有様でも、多少の「ひんしゅく」をかいつつも、任期を全うできたのは、彼らの酒癖、女癖が「いまさらあれこれ言っても仕方がない」ものだったこともあるが、彼らの持つカリスマ性が「多少の」欠点くらいは目をつむらせるほど強力だっからだろう。
さらに言えば、ロシアでは、エリツィンが戦車の上で旗を振ってソ連帝国を崩壊に導いた後の人々の心の高揚も続いていたのだろうし、アメリカでは抜群の景気でウハウハ儲かっている時なので、「まあ、それくらいいいじゃないか。似たようなことは、俺たちもやってるんだし。」と言って肩をすくめるだけの、「心の余裕」があったのだろう。
それに引きかえ、中川前大臣の場合は、彼自身にそれほどのカリスマ性がない上に、今の日本人には、今回の一件を「笑って許せる」ほどの「気持ちのゆとり」もないため、大騒動になってしまった。
おりしも、GDPが二桁で減少するとか、企業が大量の雇用削減を発表するなど、時期が悪過ぎて、人々のやり場のない不満と怒りが充満しているところに、ちょうど「按配良く」ネタを投下してくれるものだから、みんながわーっと八つ当たりできる対象を見つけることができて、ある意味、社会に貢献していると言えなくもないし、今回の大不況の犠牲者と言えなくもない(笑)。
他人の目ばかり気にする日本人らしく、日本のマスコミは外国メディアの報道ぶりを取り上げていたが、冒頭の例にとどまらずこの程度の「武勇伝」はゴロゴロしている。
それに、諸外国にとってのニュース価値は、どちらかと言えば、「酔いどれ会見」そのものよりは、こんなことくらいで大新聞が多くの紙面を割き、野党が天下の一大事かのようにこぞって罷免を叫び、国会がストップし、政局が取り沙汰されるという、幼稚園並みの日本政治の方が、よっぽどコミック度が高いし、楽しめたに違いない。
さすが、アニメ大国日本の政治の面白さは格別だと、評判を上げたことだろう。
それにしても、「恩恵」を受けたのは、何一つ見るべき成果のないG7に付き合わされたマスコミ関係者だった。中川大臣の「酔いどれ会見」の「面白さ」がなければ、それこそメディアは何を報道していいのかわからなかっただろう。
なので、いやしくも政治部や経済部のメディア人であれば、紙面では思いっきり中川前大臣のことを叩きまくるのは、仕事だからまあ仕方がないにせよ、胸の中ではそっと手を合わせるべきだろう(笑)。
それほどまでに、今回のG7(先進7か国蔵相・中銀総裁会議)は、見るべきものはなかった。
アメリカをはじめ、各国とも国内ではあの手この手で、「チェンジ」の掛け声とともに保護主義の「再生」にいそしんでいるくせに、G7やサミットでは大きな声で保護主義を非難しながら、横を向いてペロッと舌を出す。
そもそも国際会議では、どれだけ自国の利益になるようにダブルスタンダードを貫き通すかというのが外交手腕なのだから、仕方のない面がないわけでもないが、それにしても、先進国の経済エリートが雁首をそろえ、日本の財務大臣なぞは(酒だけはやめられなかったにせよ)風邪をおして飛行機で12時間もかけて参加しているのに、こんなデタラメな「成果」で、いったいどうしようというのだろう。
「先進国の連中があんなザマなら、俺たちも見習おうぜ」と、BRICsや発展途上国でも、似たような保護主義の復活の動きが活発化してくるだろう。
現に、インドネシアの公務員は自国製品を使うことが求められることになるという。税金で食べさせてもらっているから当然だ、という論法なのかもしれない。
今回のだらしないG7がこのような傾向に拍車をかけるであろうことを、マスコミは大いに問題にすべきだったし、貿易で最も恩恵を受けている日本が、このことで見るべき貢献ができなかったことを問題にすべきだったのに、そのことは「酔いどれ会見」の陰に隠れて、さっぱりと忘れらてしまったようだ。
ズレた答弁に終始した中川大臣の「酔いどれ会見」だったが、ズレているのはマスコミも同じだし、それで一番救われているのはG7関係者かもしれない。
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