時の記憶

時代の記憶として残したいニュースの勝手な論評です。


このページにつついて

 メインストリームのニュースから少し外れたところにこそ、えてして時代の真実が隠されています…などと、たいそうなことを言うつもりはありません。
 でも、ちょっとしたニュースに何を感じ、何を考えたかを残すことで、自分の人生の軌跡みたいなものを残せないかな~と感じています。
 なので、私小説的な時事論評として読んでいただければと思います。
 もちろん、感想は下の「作者にメール」でお寄せください。
閲覧回数:133911
このブログを購読
作者のプロフィール

最近のエントリー

■基地問題にみるアメリカの永遠の占領政策   (2010年02月23日)
■だらしない国家観が阻む永住外国人の参政権   (2010年01月29日)
■民主主義の最後の免疫力   (2010年01月20日)
■ものわかりのいい大臣が許す組織のタガの緩み   (2010年01月14日)
■デフレ経済の出口   (2010年01月04日)
■日米密約文書調査が生んだ思わぬ成果   (2009年12月24日)
■ママ丸抱えの『超高級ニート』総理が危うくする日本の国益   (2009年12月21日)
■民主党政権の終わりの始まり   (2009年12月16日)
■民主党政権の最初の100日が残したもの   (2009年12月14日)
■女房に逃げられた自民党のその後   (2009年12月03日)
■事業仕分けが見せつけた国家の迷走   (2009年11月18日)
■臨時国会で見えてきた鳩山政権の放物線   (2009年11月11日)
■日本郵政の社長人事で垣間見える連立三党のビミョーな関係   (2009年10月22日)
■資本主義が生み出した深い闇-アメリカの医療制度   (2009年10月15日)
■「小沢式」スパルタ教育に震え上がる与野党のセンセーたち   (2009年10月06日)
■与党となった民主党が答えなければならない疑問   (2009年10月05日)
■民主主義を見殺しにする傍観者たち   (2009年10月01日)
■左手でムダ撲滅を掲げ、右手でキャバクラに税金を使う政治の「質」   (2009年09月30日)
■永田町攻防戦-これからの三つの見どころ   (2009年09月24日)
■小泉改革はなぜ地に堕ちたのか   (2009年09月10日)
■民主党の大勝後の各党の「戦後処理」~(その2)民主党編   (2009年09月01日)
■民主党の大勝後の各党の「戦後処理」~(その1)自民党編   (2009年08月31日)
■民主党政権の命運を握る3者の正体   (2009年08月24日)
■マニフェストにおける「目的」と「手段」   (2009年08月20日)
■戦う前から気になる自民党の「戦後」   (2009年08月20日)
■日本人を太平洋戦争に追いやった真犯人は誰だったのか   (2009年08月18日)
■私がiPodを買うのを辞めた理由   (2009年08月09日)
■国民の眠れる権利が覚醒するときの新聞の役割   (2009年08月08日)
■民主党マニフェストから奇妙に抜け落ちている視点   (2009年07月31日)
■マニフェストをめぐる財源論争に隠されたもの   (2009年07月28日)
■本当にぼったくっているのは誰なのか   (2009年07月23日)
■同時に進む二つの解散   (2009年07月19日)
■解体は再建のはじまり   (2009年07月16日)
■「いまさら解散」の予告の次に来る各党マニフェストの見比べ方   (2009年07月15日)
■絶対作らせないと息巻いた道路を無理やり作らせる評論家副知事   (2009年07月14日)
■GMのセールスマンの気持ちがわかる自民党候補   (2009年07月13日)
■外交のプロが説く日米の夫唱婦随   (2009年07月01日)
■検察の中の世代間対立   (2009年06月26日)
■民主党マニフェストの方程式の解法   (2009年06月23日)
■麻生・鳩山戦(第2回)の判定結果   (2009年06月18日)

砂山くずしのような景気対策

2008年12月21日

 金利の0.1%への引下げを発表する日銀の白川総裁の表情がさえない。
 もともと表情豊かなコミュニケーターではないので、表情がさえないことに特別の意味はないのかもしれないが、いつにもましてさえないように見えるのは、筆者の気のせいだろうか(笑)。

 バブル崩壊後の景気低迷で、ゼロ金利どころか量的緩和までやって、既に金融政策を使い果たしたところに、また、「この一大事に何とかしろ。」と言われて悩む姿は、酒ばかり飲んで働かない暴力オヤジのために家計がすっからかんになったところに、さらに「酒を買ってこい」と怒鳴られているようなものだ。

 お隣のアメリカ家の方が、ゼロ金利、量的緩和と、思い切ったことを毅然とした態度でやっているので、おい、日本はどうした、という大合唱の前に、何もしないわけにはいかない。
 それに、他の国が緩和策を繰り出してくるときに、日本が何もしないと円が切り上がって、輸出企業が価格競争で負けて、モノが売れなくなり、一人負けすることになって、さらに景気が悪化する。
 かといって、そもそも金利なんか動かせる幅はないし、さらに量的緩和といって、タチの悪い債券を買い込んでコゲ付けば、既に倒産が続出している銀行のように、日銀自体が倒産するかもしれない。
 もっとも、日銀はお札を刷れるので、実際のところは倒産することはないが、そのかわり、日銀が刷るお札が紙くずになるということだろう。それは、とりもなおさず、円の価値が崩壊することだ。

 一方、財政の方は威勢がいい。
 選挙を目前にして、大盤振る舞いが続く。
 2009年度予算では、さっさと新規国債30兆円などという目の上のタンコブみたいな枠をとっぱらい、財政再建を棚上げしてしまった。
 税収見込みの46兆円とその他収入の9兆円を加えて、55兆円しか収入力がないところに、一般歳出51兆円、地方交付税などで17兆円の68兆円にもなる。国債関係をさっぴくと、単純に考えて、13兆円くらいの収入不足ということになる。率で言えば、2割近くになる。
 これは、月収50万円の家計が、毎月10万円の借金を続けているのと同じだ。
 これに加えて、景気対策の二次補正予算分が加わるわけだ。

 もちろん、景気が悪化しているときに政府が財布の紐を締めることがあっては、喘息患者の首を絞めているようなものだろう。
 そんなことをすれば、税収そのものが減って、さらに財政が悪化することになり、元も子もなくなる。
 その一方で、GDPの160%を超える借金が、国と地方とで積み上がっている。これに社会保障も加えれば、181%になる。
 これが、アメリカは63%、英国は48%、フランス73%、あのイタリアでさえ(失礼!)116%だから、ヨーロッパの劣等性のはるか後塵を拝して、砂埃さえ飛んでこないくらい後にいる。(数字は、東京新聞2008-12-14)

 こういう状況に対して、「そんな数字、いちいち気にすんなよ。」という楽観論がある。
 その第一が、国は永続的なものなので、家計の借金のようにある時までに完済するという前提になる必要はない、というのがそれだ。
 期限が来れば、また同じ額だけ借金して、永遠に借り替えていけばいいではないか、というものだ。

 まあ、なんとなくもっともらしい。
 でも、これだけの巨額の借金を、日本経済全体がいつまで支えることができるか、ということが問題だ。
 これまでは、政府を信用しない日本人の高い貯蓄率のおかけもあり、1500兆円を超える金融資産を家計部門が持つなど、日本経済は、政府部門の借金を支えることができた。
 これが、高齢化社会が本格化する中で、今後は、これまでのような貯蓄率を続けることができず、貯金の取崩しが経済全体で本格化する。
 となると、これまでのように経済全体で、政府部門の借金を支えることが難しくなるだろう。
 そんな中にあって、2011年までに収入と支出を基本的に見合ったものにしようという計画が、景気対策のためとはいえ、頓挫することによって、垂れ流す借金がさらに増えることになる。

 また、これまで日本は、見かけの借金の大きさに比べて、借金にかかる費用、つまり金利の支払いが比較的少なかった。
 OECDの数字(2005)によれば、日本の政府部門の利払い費のGDPに対する比率は、1.7%で、イタリアの4.3%はもちろん(失礼!)、フランス(2.5%)、イギリス(2%)やアメリカの1.9%よりも少なかった。
 要は、借金は大きくても、実質的な影響は大したことないじゃないか、というわけである。

 しかし、これとて、バブル崩壊後のゼロ金利政策を延々と続けたから、ほとんど金利を払わずに借金できたわけで、金利が1、2%上がっただけで、財政は見るも無残に破綻するだろう。
 他の国もしばらくは不況が続くだろうから、しばらくは日本の金利もゼロが続くので、その間だけはいいかもしれない。
 でも、いったん景気が上を向き始め、世界的に資金需要が上を向き始め、金利がジリジリと上がり始めたときに、今の日本の借金体質がそのままだったとすれば、そのときは国全体が夕張市のようになることを覚悟しなければならない。

 バブル崩壊後の失われた20年近くの間に、日本の財政と金融政策は、すでにその体力のほとんどを消耗してしまっている。
 その骨と皮だけになった体に、今度のサブプライム恐慌に対応するために、さらに鞭打とうとしているのだ。

 鞭打ち過ぎて、ほんとうに死んでしまうのではないかと心配しているから、冒頭の白川総裁の表情は、いつにもましてさえないのではないだろうか。
 それに、白川総裁本人がまさか自分が総裁になるはずがないと思っていたところに、民主党のゴタゴタで総裁になり、そんな大変な判断をする気持ちの準備もできていないかもしれない。
 しかも、そんな重みを、日銀総裁として一人で背負わなければいけないというのも、大変辛いことだろう。

 それに引き換え、財政破綻スレスレのところで大盤振る舞いをしている政治家の方は、結局、誰が最終的な責任をとっているのかさえはっきりしないくらいの無責任体制なので、忘年会シーズンの居酒屋のように大声を上げ、たいそう威勢がいい。
 そんな、責任体制の違いも、白川総裁の頭痛をひどくする理由なのかもしれない。

■日銀、金利を0.1%に利下げ

■09年度予算・財務省原案 - 景気重視、歳出最大に


関連ブログの登録は、私の記事への賛成、反対は一切問いませんが、次のようなものに限りお願いします。

  • 賛成、反対にかかわらず、論旨がはっきりしていて、この記事と読み比べる意味があるもの、
  • 偏見に基づく誹謗中傷を含むものでないもの、
  • 不穏当な言葉遣いを含むものでないもの、

なお、お互いの記事相互に行き来ができるように、こちらの記事へのリンクが貼られていると読者にとって便宜なので、可能な限り、この記事へのリンクを貼っていただくようにお願いします。

タイトル
投稿者名
本  文
HPのURL
※参考となるあなたのHPがあれば、該当箇所のURLを記入してください。